《日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義》読了レビュー

  • 2019.04.28

SNSなどで見かけたので読みました。
タイトルがすごいですね。「日本人の勝算」ですよ。
どんないいことが書いてるのかなと思ったけれど、全体としては厳しい状況、そして思考停止している日本人への苦言を突きつけられるような本だったと思います。

一貫して「あなたは日本という国を正しく理解しているか」という問いを投げかけられたような読後感です。
最近の好きなことを仕事にとか、そういうのとは一線を画して、日本とはどういう国で、どうなっていくのが望ましいのか。著者の思いが感じられる本だったと思います。ちなみに著者はイギリス出身で日本に在住されているデービッド・アトキンソンさんという経営者の方です。日本語うまいなあ…

章の構成

第1章 人口減少を直視せよ
第2章 資本主義をアップデートせよ
第3章 海外市場を目指せ
第4章 企業規模を拡大せよ
第5章 最低賃金を引き上げよ
第6章 生産性を高めよ
第7章 人材育成トレーニングを「強制」せよ

一番面白かったのは第4章かな、と思いますが、全体的に経済素人の私にもわかりやすく、面白かったのです。星5のおすすめ本です。

デフレ圧力の常態化

そう、日本ってデフレなんですよね。平成の間ずっとデフレだったということなんでしょうか。おかげで、日本という国の世界の中での立ち位置もずいぶん変わったよなあという気がしています。
いつだったか、日本が海外旅行先として好まれるのが、物価が安いから、というのを何かで見て、そうか、日本はすでに経済大国ではないんだなあ…となんとなく思ったのを覚えています。

著者はこのデフレはもっと深刻なものになると書いています。というのも日本は人口が減少し、高齢化しているからです。

私は全然詳しくないですけど、アベノミクスだとかって言って、日銀が金融政策を打ち、インフレ誘導するという話があることくらいは知っていますが、あまり効果は出ていないように感じています。(インフレしている雰囲気はない)
著者によれば、この金融政策は需要が減っていく人口減少の場面では、無理があると言います。なるほど…確かに、いくら金利を下げたり、通貨の流通量を増やそうが、需要が減ったらそりゃ物価が上がらないですよね。

需要が増えることがないのであれば、賃金を上げるべきだ、とこの本は主張しています。

High road capitalismへの転換

日本の生産性は世界第28位、らしいのです。(公益財団法人日本生産性本部のサイトを確認しましたが、2018年20位という記載でした
もう50年近くG7最下位だそうです。何気にこのことはあまり意識がありませんでした。

もっと冷静に、中身を見なければいけないのかもしれません。
著者は「いいものを安く」から「より良いものをより高く」に移行しなければ、日本の経済は立ちいかないと言います。そして、おそらくこのあたりが勝算、なのかもしれませんが、日本は人材の質ランキングは世界4位であると訴えています。

それにしても生産性は低く、人材の質は高いってどういうことなんですかね…日本人は世界で頑張れるような人材なのかは私は正直「?」です。自国から出ずとも不自由なく暮らせるので、視点がそれこそガラパゴス的なのではないかと思ってしまいます。

日本には小さな企業が多すぎる

個人的にはこの訴えが面白かったです。著者は「中小企業は生産性が低い」とバッサリ切っています。今って、どちらかというと起業やベンチャーなど、小規模のグループでスピード感を持ってビジネスを進めるのが流行りなんだと思っていました。
この本ではそういう話は出てこないのですが、企業規模が大きいほど、つまり余裕があり、一人当たりの生産性が上がるというんですね。企業の規模と生産性には強い相関性があるということを本書では色々な角度から紹介しています。

日本人はいちばんになることを異常に喜び、その実績を日本全体に一般化して、満足してしまう傾向があるように思います。トヨタ自動車がすごいのを、あたかもすべての日本企業の技術がすごいと思いこんだり、特定の職人さんの技術がすごいから、日本人は手先が器用な民族だと安易に信じ込んだり。 お国自慢はできるかもしれませんが、そんなことは人口減少時代には無用の長物でしかありません。 「日本経済は人口が減っても、技術革新を進めて十分対応できる」という考え方の人が、日本には多くいるように感じます。しかし、この考え方はとてもガラパゴス的です。

なるほどなと思ったのは、「人口減少によって、規模の小さい企業には雇える人がいなくなる」という記述です。それはそうでした、生産年齢人口が減ってるんだから当たり前ですね。ここ4〜5年会社の新卒採用面接をやらせていただいていますが、来てもらっている学生さんには感謝です。

15歳から64歳までの生産年齢人口7682万人が2060年には4418万人。この4418万人の生産年齢人口を大企業から順に割り振ると、従業員10人以上30人未満の会社の56.5%まで残すことができます。つまり、その規模の企業の43.5%と、10人未満の企業全てには、従業員を一人も割り振れないのです。

人口減少・高齢化を生き抜くための生産性向上目標

日本経済を縮小させないためには、生産性をどの程度向上させなければならないのかということが、本書では記載されています。そして、生産性を上げるためには最低賃金を上げなければならないとも訴えています。

そして、個人的に一番なるほどなと思ったのは「日本人の変わらない力は異常」「日本型資本主義の信仰」というくだり。

明らかに今の日本経済のあり方を変えないと国が滅びることがわかるのに、それに本格的に取り組んでいる人は少ないように感じます。(中略)
日本は世界第3位の経済大国である
戦後、日本経済は大きく成長してきた
日本は技術大国である
日本は特殊な国である
よって、日本のやり方は正しいし、変える必要はない(中略)
「日本人にとって大事なのはお金だけではない。一生懸命働いて、その成果を人のために出来るだけ安く提供している献身的な日本人は美しい」
たしかに聞こえだけはいいですが、これからの時代、これはきれいごとです。
もはやその考え方は時代錯誤です。

ここまで極端じゃないにしても、このような思い込みは多少なりとも自分にもあるなと思いました。もっと経済の本を読んでみよう。

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